不眠症について
睡眠には個人差が大きく、短い睡眠時間でぐっすり眠る人と、8時間以上眠らないとだめな人といろいろあります。また、加齢とともに、眠りが浅くなったり、朝早く目が覚めたりすることはよく知られています。現代の複雑多様なストレス社会にあって、不眠に悩まされている人は多く、日本では不眠の出現率は一般人口の約20%といわれています。
症状
入眠障害(にゅうみんしょうがい)
寝つきの悪いタイプで、眠ろうとすればするほど眠れなくなるが、いったん入眠すると朝まで眠れるというもので、不眠症の中では一番多くみられます。
熟眠障害(じゅくみんしょうがい)
眠りが浅く、すぐに目が覚める、夢ばかりみて眠った気がしないと訴えるタイプで、老人の不眠や慢性的なストレス状態で多くみられます。
早朝覚醒(そうちょうかくせい)
朝早く目が覚め、その後眠れないというタイプで、高齢者に多い傾向があります。ただし就眠が早すぎるだけで全体の睡眠量は足りているということもあります。
診断
睡眠障害の分類にはいろいろありますが、わかりやすく実用的なものとして米国睡眠障害センター協会(ASDC)の分類があります。この分類に従って、以下に説明します。
精神生理学的要因による不眠
これは最も一般的に多くみられる不眠であり、時差のある地域への飛行機旅行や精神的ショック、外科的手術のための入院など急激なストレス状況に対する一時的な反応として現れるものです。
精神障害に伴う不眠症
心療内科、精神科領域では最も多くみられる不眠症で、神経症、うつ病・うつ状態、あるいはその他の精神疾患の部分症状として現れるものです。
薬物使用やアルコール飲酒による不眠
慢性的な薬物依存やアルコール依存によるもので、とくにアルコールは最初はナイトキャップとして飲んでいたのが、だんだん飲まないと眠れなくなり、次第に飲酒量が増え、寝つきはよいが、すぐに覚めてしまい、また飲むという悪循環を繰り返すようになります。
身体疾患、中毒性疾患などによる不眠
夜間の不整脈や呼吸困難、咳、喘息(ぜんそく)あるいは発熱やかゆみなどの身体的苦痛や不快感のために不眠になることがあるので、この場合は内科的診断と治療が必要です。
その他、まれなものとして、肥満による睡眠時無呼吸症候群などで不眠(中途覚醒)となることがあります。